インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.25
- 列車は、西へと進む
ジャイプールを定刻に発車した列車は、7時間弱の道のりで
18:30 ジョードプル着を目指す。
列車の中でB1グレードの席は、スリーパータイプで体を横にすることもできる。
トイレもインド式と洋式の両方が完備され、それだけでも長旅なら安心だ。
そして何より、『チャイ、チャイ、チャ~イ』と定期的にチャイ ワラがやってきて、
甘いチャイを小さな紙コップに注いでくれる。
あゝ、快適。
今回のスリーパータイプは、窓際の一人席だ。
西に向かう列車なら進行方向に向かって、
座席がひらがなの『に』の字のようになっている。
左の窓に沿うように縦になった席と、通路を挟んで向かい合う席に分かれている。
背もたれを倒したベットに靴を脱いで上がり、kindleを出して
『深夜特急』の続きを読もう。
列車の時間は、まだ、始まったばかりだ。
学生の頃の旅なら、移動時間や何もしない自由な時間のために文庫本を2,3冊持って行った。だけど、旅そのものが楽しくて、全く読まずに帰ってくることだって、何度もあった。
文庫1冊をだいたい300ページと仮定すると、一冊の重さは約150グラム。
3冊なら450グラムになる。
バックパックの旅になると、この重量とスペースが意外と効いてくる。
愛用している『Kindle Paperwhite 防水機能搭載 wifi 32GB』なら、本体重量は、たったの182グラムと薄くて軽量だ。今回は、深夜特急 6冊分をダウンロードしてきているから、約720グラム の軽量化ということになる。
また、これが、フロントライト方式だから、4460のように40を越えて老眼が始まったおじさんの目にも優しく、長時間の読書でも疲れにくい。
すっかり手放せなくなってしまった。
深夜特急の本編は、熱狂の香港/マカオを飛び出して、マレー半島を南下してシンガポールを目指すことに…。
4460は、熱狂のジャイプールを飛び出してきたばかりだ。
4460は、2014年8月から 1年間、シンガポールに駐在員として滞在した。
その間に、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムなどマレー半島を中心に、
家族と旅行したり、仕事で出張したりもした。
その当時の思い出の景色や、食べ物のにおい、まとわりつくような湿度をリアルに思い出す…。
自分の海外生活のルーツをたどっているような、そんな気分になる。
『深夜特急』については、別の機会に40歳を超えて感じたことを
レビューしてみたいと思っている。
どっぷりと思い出に浸りながら深夜特急を夢中で読んでいると、
列車が静かに停止する。
少し休憩するようだ。
- 走る若者
外に出てみると、停止した駅は、予想よりもはるかに小さな駅だった。
大きく伸びをしてストレッチをする。
最近、身体がすっかり固くなっている。
今は、売店に行く必要もない。ジャイプールで、ベジバーガーも買ってきた。
このベジバーガー。
パニール(インドのチーズ)のフライなどが挟まっていればまだいいが、バンズにキャベツの千切りを乗せて、スパイスの効いたオーロラソースをベタっとかけて、ハイ、出来上がり。というのが大半だ。でもこれが、慣れてくるとあっさりしていてなんとも食べやすい。
4460も嫌いではない。
車内に戻って、ベジバーガーでも食べよう。
時刻を見ると14時を少し回ったところだ。
席について、少し遅くなった食事をとり始めると、
列車はまた、西に向かって動き始めた。
窓の外を見ていると、んっ⁉
5人ほどの若者が駅の壁を登って超えてくる!
次々と壁から飛び降りると同時に全力疾走!
列車に乗る気だ!
若いって素晴らしい。
壁を越えてきたから、もしかしたら乗車券も持たずに この列車に飛び乗る気なのかもしれない。きっと、若いあの子たちは、この列車に飛び乗り西に向かって貧乏旅行をする気なんだ。
勝手に妄想して、青春をお裾分けしてもらう…。
ところで、結構なスピードだったけど彼らは列車に乗ることができたのか?
結果を知ると興醒めするので、確認しないことにする…。
ゆっくりとkindleを手にして、また、深夜特急の世界へと入っていく。
次回は、いよいよ日没後のジョードプルに到着する。
今日はここまで。