インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.36
- 砂漠の夜のジャイサルメール
列車を降りてホームを歩いていると、気温の低さに加えて夜風が 肌寒さをより一層感じさせる。さらに、夜風に舞い上がった砂が頬に当たる。
明らかにジョードプルとは雰囲気が変わった。
駅の外に出ると、またまた、ネオンで駅舎が輝いている。
一体誰に向けたネオンライトなんやろ…、砂漠で流行ってんのかな?
それとも、砂漠で迷った人が、この光を頼りに帰ってくるのか?
…妄想を膨らませる…。
現実の世界で、このネオンに集まってきていたのは、
大勢のリキシャの運転手だった…。
4460に声をかけてくる大勢のリキシャ運転手の中から、
今夜は最も消極的な運転手を選んでみることにする。
声掛けの人垣の外側で、その場のノリで駅から出てきた外国人に寄ってきたものの
『まさか自分が指名されるわけ無いだろう』と油断している運転手を逆指名すると、
どういう反応が起きるかを見るためだ。
ワーワーと4460にどこから来たんだ?どこに行くんだ?ホテルは予約してるのか?
とお決まりの大合唱の中、人混みの中に潜み、言葉を発さない無関心な男が混ざっていないかじっくり探す。
いた…。ニット帽をかぶり『オレには関係ない』という顔で右を向いて黙っている
小倉久寛さん似の男、今回の逆指名に適任だ。
…彼に乗せてもらうよ。
そういって右手で彼のほうを指差すと、人垣が真っ二つに割れて、
小倉sanが舞台の中央に引きずり出される。
『えっ、オレ?』
授業中、先生に不意に当てられてしまった生徒のように、たじろぐ小倉san…。
周りの『なんで?』『なんで小倉なん…?』
質問ともブーイングともつかない騒ぎを振り払って、
彼の背を押してリキシャへとゆっくり向かう。
皆さん、なかなかいいリアクションをありがとう。
- ジャイサルメール 城下町のホテルへ
どうして自分が選ばれたのか
その疑問からくる不安が顔に出まくっている小倉sanに行き先を伝えると、
彼が知っているホテルだったようで、表情が安心感に包まれる。
いったい何をさせられると思って不安になっていたのだろうか…。
小倉san『どうして俺は選ばれたんだ?』
4460も適当な答えが見つからず、少し間をおいて答える。…
日本の叔父さんに似てたんだ…。ある意味『日本のオジサン』。嘘じゃない。
小倉san『そうか…』あれ?納得したんかいな…。
まあいいか。説明するのもめんどくさいし、先を急ごう。
ジャイサルメール城は、ジャイプールのアンベール城やジョードプルのメヘランガール城と大きく異なることがある。
それは、今も人々の生活が城の中にあって、宿泊もできるし、食事もできる。
お土産を買うこともできるし、そこに住んでいる人の生活を垣間見ることもできる
。今も、活きている城だというところだ。
ここでは、入場料や見学のチケットが存在しない。
城塞は、特別な場所ではなく、生活の一部という考え方がよく伝わってくる。
以前、家族で城の内側に泊まった時に、城の内側にも、見下ろす城下町にも、
活きてる感じ、生活がある感じを肌で感じることができた。
そのあたりが、好奇心を刺激され魅力を感じるところなのかもしれない…。
だから、今回のジャイサルメールでのホテル選びは、城下町側であることを条件として決めた。今度は、城を見上げて、活きている街を感じたい。
駅を出て、15分程度で今日のホテルへと到着した。さすが、小倉san。
少し寒そうにしている小倉Sanに、メーター表示から少し上乗せした料金を払って
礼を言うと、少し笑って、駅とは反対のほうに向かって走り去っていった。
もしかしたら小倉san、
駅で関心がなさそうにしてたのは、最終着の電車の乗客が全部掃けたら、仕事を終えたことにして、早く家に帰りたかっただけなのかもしれないな…。
ムンバイも8割ぐらいのリキシャは、メーターを使って走ってくれる。
リキシャ側にしてみれば、かつてのように客を値踏みして吹っ掛けることで荒稼ぎすることができなくなってしまったかもしれないが、乗る側にしてみれば、交渉なしの明瞭会計だから安心感が違うし、外国人だとリキシャ利用へのハードルそのものも下がることになる。
そんな中で、残り2割の癖の強いリキシャに当たらないかと心のどこかで期待してしまう4460は、もはや特殊なのかもしれない…。
本題に戻ろう。
- ホテルの楽しみ方
今日の宿泊先は、2階建てのこじんまりしたホテルに1泊だけだが、
だからこそのジャイサルメールでのホテル選びの重要なポイントをもう1つ。
それは、◎Roof Top レストラン&バー があることだ。
これがあることによって、ライトアップされたこんな景色を楽しみながら、
こんな感じで、ビールを楽しむことができるからだ。
朝でも、昼でも、夕方でも、夜でも楽しめる Roof Top レストラン&バー があることをホテル選びの際は、ぜひ確認してほしいと心から思う。
熱くなってしまった…。
明日は、早朝から城内に上がって、何度も利用している馴染みのカフェから日の出を待つことにしている。明日もきっと晴れる。妙な自信が4460にはあった…。
今夜もビールを適度に飲んで、早めに休もう。
次回は、予想外のディワリ前プジャで、早朝からサリー集団に飲み込まれることに。
今日はここまで。