インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.37
- 早朝のジャイサルメール城へ
4:50。今日もやっぱり、目覚ましが鳴る前に目が覚める。
伸びをすると身体の硬さが抜けて、体力が十分回復していることを感じる。
昨夜は、Tシャツに短パンの薄着で寝たが、知らないうちに気温が下がっていて、
朝になると掛布団の下にしっかり潜り込み、そのままくるまって寝ていた。
ベットから出ると空気がひんやりしていて布団の中が恋しくなる。
不意に、日本の冬の朝が 思い出される。
そういえば、インドに来てからすっかり、
寒さを感じることが少なくなってしまった…。
身支度をして、5:30にはジャイサルメール城に上がろう。
この気温なら、今朝はフリースを1枚羽織っていくほうがよさそうだ。
日の出は、馴染みのカフェでインドコーヒーを飲みながら見ることに決めている。
カーテンを開けると、まだ日の出までは時間がありそうだが、
昨夜の漆黒の空は、雲一つなく、夜明けに向けて濃い藍色に変わり始めている。
やっぱり今日も晴れだ…。
- ジャイサルメール城を時計回りに
ジャイサルメール城の入口は、1か所のみ。
警護の意味でも当然だが、4460の宿泊したホテル北側の位置からは、ちょうど反対側の南側となるため、城壁に沿って時計回りに進んでいくことにする。
早朝の商店前には、牛がたくさんいる。神様の使いとして大事にされているので人慣れしていておとなしいが、この大きさで犬と同じスピードで動くとかなりの脅威になることは間違いない。
牛に突進されないことを祈りつつ、脇を通り抜ける。
牛のほうも、脚は動かさずに首だけ振ってこちらの様子をうかがっているようだ。
ゆっくり歩いていくと、唯一の入城門が見えてきた。
この狭い門の向こう側に城内へとつながる坂道が続いている。
日も出ていない早朝から、何だか人が多いように感じる。
- 違和感の正体
城内の狭い坂道を進むと、細かく門を設置し、仕切られた空間を故意に作っているのがわかる。今は門が解放されているので、自由に行き来することができるが、敵が攻めてきたときは門を閉めて、狭い空間に閉じ込めて撃退していたのだろう。
それにしても、朝から人が多い。
門を抜けると、さらに人が増えた。
でも何か感じる違和感…。
そうか、よく見たらサリーや民族衣装で着飾った女性が多いんや…。
見える範囲だけでも、男性の数が圧倒的に少ない…。
そういえば、EP.28のジョードプルでもサリーで正装した女性が、早朝から寺院でディワリの特別なプジャに参加していた。
どうしても確かめたくなって、前から歩いてくるサリー姿の女性に尋ねてみると『早朝だけのディワリの特別なプジャだよ』と答えてくれる。
やっぱり…。
この古城で、ディワリ時期の早朝にしか見られないサリー集団…。
早朝のジャイサルメール城の雰囲気も相まって、
中世のインドを覗いたようなそんな気がした…。
- 馴染みのカフェへ
最後の門を抜けると、かつてのマハラジャや、今でも城内に暮らす人たちの
居住区エリアに入る。
空が明るくなってきた。夜明けが近い。
日の出は、広場を左に曲がった東側から市街地を望む砲撃台付近がおすすめだ。
そのわきに馴染みのカフェがある。
ここからは、夜は薄暗かった眼下に広がる砂岩でできたジャイサルメールの街が、
正面から登ってくる朝日に照らされて黄金色に変わり、
街がゴールデンシティーに戻っていく様子を見ることができる。
夕暮れ時は、広場をまっすぐ進んで西側を望むこちらも砲撃台付近が、
サンセットのおすすめポイントだ。
砲撃台には、今も大砲が据えられている。
これで向かってくる敵を退けていたのだろう…。
それにしても、そこのお二人。
今はもう大砲は打てないけど、そこに座るのは何となく危ないような気がする…。
隣のカフェで城壁側の席を確保し、インドコーヒーをオーダーする。
インドでブラックコーヒーを頼むときは、はっきりと砂糖なしを指定しないといけない。基本的には、色が黒ければブラックコーヒー、インドでは、砂糖たっぷりが基本スタイルだからだ。
店によっては、砂糖なしのブラックコーヒーでは物足りないだろうと、マサラを入れてくれる店もあるが、もはやコーヒーではなくなっている…。
インド人って自由だ。
静かにコーヒーを飲みながら街を眺めていると、ゆっくりと朝日が昇り始める。
街に黄金色が戻り始めて、ゴールデンシティーの今日がまた始まる。
…今日もなんかいいことありそう…。
次回は、ジャイサルメール城壁内を時計回りに進みながら、
ジャイナ教寺院を探索する。
今日はここまで。