インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』EP.01
- さぁ、出発前に旅の準備をしよう。
10月29日、4460はインド列車の時刻表を見ながら、
『今日18時、終業後から自由になる。』
そんな浮足立ってしまう気持ちを抑えながら、
早朝の自宅で静かに旅の準備を進めていた。
いつも通り、黒のNorth Faceのバックパック。
こいつは、高い防水性と強度を持つ900DのTPEラミネート素材を使用していながら、29Lの容量がある優れものだ。
今は廃盤カラーになった黄色のCamper beetle。
こっちは、家族とスペインに行った時に購入した思い出の品。
ゴムひもを採用したシューレースは着脱が快適。特に両手がふさがっているときの脱着性は抜群。また、軽量でクッション性にも優れ、旅には欠かせない一足。
そして、iPhoneとパスポート。充電器も忘れずに…。
このあたりが揃っていれば、あとは何とかなる。
あまり準備し過ぎたくない気持ちが、この時間まで準備しなかった理由、
のような気がする。
今回は、9泊10日のインド列車中心の旅になる。
着替えを日数分持っていくこともできないから、
逆に適当な洗い替えがあればそれでいい。
意外と2泊3日ぐらいの旅のほうが持ち物に迷うのかもしれない。
そうだ、今回はkindleを忘れないようにしないといけない。
約25年ぶりに『深夜特急』を列車の中で読むためだ。
正直、こんなに薄いものに文庫本6冊分の『深夜特急』が詰まっているのだから、
ほんとにすごい。世の中便利になったと心底感心してしまう。
連休前の最終日。仕事は仕事でやり切ってしまう。
旅の準備もできた、先ずは仕事を頑張ろう。
- 出発駅 Borivali へ
18:00 仕事完了。
やり残しがないから今回はPCを持っていかない。
この旅は、移動距離も長く目的地を転々とするので、正直 紛失や破損が怖い。
メールだけならiPhoneで対応できる。
会社から直接リキシャに乗って、ムンバイ北部のBorivaliの駅に向かう。
寝台列車に乗るためだ。
南部の始発駅から乗りたかったが、早退してまで叶えるほどのことではない。
旅の始まりは、いつもリキシャからだ。
ムンバイでは、小さい車幅で強引に渋滞へ突っ込んでいくリキシャが意外と速い。
このリキシャ、『Ford』って貼ってるけど…。バジャジやろ…。
19:10 Borivaliの駅 に到着。
帰宅時間と重なり、駅周辺は、昼間どこかに潜んでいたインド人でいっぱい。
寝台列車の出発は、19:36。結構ギリギリや。
インドの駅は改札がないので、そのまま陸橋を駆け上がりホームへ。
んっ!ホームが5本ぐらいある…。
そういえばこの予約表、情報が少なすぎてホームのナンバーを書いていない…。
時間ないのに…焦るやんか。
これは、予約表の見方が分かるインド人を見つけて助けてもらうしかない。
ホームに並んでる旅行者らしいインド人に聞いてみよう。
こんな時、インド人は優しい。
すぐに『日本人が困ってるぞ~』って、仲間を呼ぶ。
インド人約10人が集まり、4460の予約表を見ながら『あーだ』『こーだ』と始める。
ありがたいけど、時間ないよ。
みんなで激論した後で、一人のインド人が今後の列車旅で役立つ
最も大切な情報を教えてくれた。
『列車№とシートGradeをホームの電光掲示板で確認すればいい。』
…実際…どの掲示板?
手前のオレンジでもなく…右側の白く明瞭な表示でもなく…。 矢印のやつ…。
ちっさ‼
この小さな掲示板は、インドのどこの駅に行っても必ずホームに設置されている標準装備の優れもの。 列車№とシートGrade を点滅切り替えしながら表示するのだ。
写真の表示は『D1』、シートのGradeを示している。
シートGradeは 車両ごとに決まるため、ホームの立ち位置ごとに表示が異なる。
4460のシートは、『B1』スリーパータイプだからかなり前のほうのようだ。
表示は、約5秒後に列車№に切り替わり、どちらの情報も何度も確認できる仕組みだ。
これさえ理解しておけば、毎回インド人に聞きながら確認する必要がなくなる。
『4460は、列車のホーム選択と乗り方を覚えた。』
天の声が聞こえてきそう…
大切なことを教えてくれた ホームにたまたまいたインド人の皆さん、
ありがとう。
そして、奇跡的にばっちり大当たり。目的のホームだった。
何とか間に合った。
- 寝台列車に乗り込め!
人生初のインド寝台列車。
ファーストコンタクトはどんなものか。
あっ。列車が入ってきた。
ホームへの侵入速度が速すぎて、ピントが合わなかった…。
それにしても、向こう側のホームの列車。
インドらしくドア全開!
そして、列車同士が近い…。
危ないぞ。
インドらしく、ゆっくり遅れてくるのかと思いきや、5分遅れで到着。
時間通りやん。
5分遅れでそう思えるようになった4460、成長したと思う。
ホームと車両のシートGradeも合ってる。さあ乗車だ!
『B1 スリーパー』グレードの車内。
思っていたよりも清潔感があって、ゆっくり寝れそう。
えーと、予約表のシート№は、この先かな~って…。
あれっ⁉
おばちゃん、俺の席ですでに寝てるやん…。
さすがインド。ただでは休ませてくれない。
寝てるおばちゃんには悪いが、ここは4460の席だ。
起きてもらって、自分の席に戻ってもらおう…。
やっと、席につくことができた。
バックパックを下ろして、インドで初めての寝台列車の旅の始まりだ。
次回は、インド寝台列車、初めてのオーバーナイト編だ。
今日はここまで。