インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.17
- チェキヲさん、お目覚め…
アンベール城の広場から太陽門をくぐって外に出た。
今朝、象に乗って 登ってきた 坂道をくだる。
早朝と比べると日が高くなり暑くなってきた。
そして何より、大量のインド人が繰り出してきている。
ここはインド屈指の観光地アンベール城。
インド人にも人気のスポットのようだ。
坂道を下り始めてすぐに、右に向かって枝分かれした 上り坂を見つける。
どうもここがジャイガル要塞への入り口のようだ。
こちら側には人の気配がないところを見ると、
坂道を上がるこの道は、あまり人気がないようだ。
ふっと、携帯がブルブルしているのに気が付く。
日本人は、外にいても、騒がしくても、家族といても、
仕事中でも、プライベートでも、マナーモードにしている人が多いと思う。
4460も常にマナーモードにしている派だ。
だが、インド人は違う。
オフィスでも、会議中でも、映画館でも、飛行機でも、お構いなし。
派手な着信音をこれでもかと最大の音で聞かせてくれる…。
大きな意味での自己主張だろうか。
少し話が逸れた…。
着信に反応して出てみると、チェキオさんだった。
『どこにいる?』
今起きたんかいな…
アンベール城だと答えると『今から行きます…』
…あんた、遅刻した社員か…。
まず、目覚まし時計を買え…。
- 坂道がきつい
ジャイガル要塞へ向かい坂道を登り始めるが、これがなかなかきつい。
前におじいちゃんが歩いてる。
負けていられない。追いつけ、追い越せだ!
少しずつだが、目的のジャイガル要塞も近づいて
大きく見えてきているような気がする。
それにしても、ペットボトルを持ってきておいてよかった。
見渡す範囲に、売店も給水ポイントもない…。
時期が時期ならインドのこの暑さで、死人が出るぞ…。
それにしても、この坂道。敵も攻めにくいけど、
交代勤務の度に、味方の兵もくたびれてしまうで…。
- ジャイガル要塞
『列車で行くしかないでしょ』と言いつつ、今回の旅、結構 歩いてる。
40を越えて肉体的な衰えを感じないでもない4460だが、
今回の旅、やっぱり 結構 歩いてる。
息も少し上がり始めたが、ごまかしごまかし登っていると、
何とか要塞の入り口に辿り着いた。
簡素な門の内側は、赤茶けた外壁に囲まれ飾り気がない空間、
ここは、実戦的な要塞そのものだ。
かつて兵士が集合していたであろう広場に、
今は ゆったりと大きな日陰を抱えた古木が佇んでいる。
あの木陰で一休みしよう。
ちょうどいい場所を見つけた。
腰かけて水を飲み、しばらく涼むと呼吸も整ってきた。
そういえば、アンベール城から見えていた城壁はどこだろう?
あの稜線を縫うようにして築かれた城壁を高いところから眺めてみたい…。
腰を上げて、奥へと進んでいく。
中庭を抜けると前方に見張り台のように張り出したテラスが見える。
あそこかな?
おおっ…
アンベール城が見える!
向こうから見えていたのは、ここだ!
手前の稜線から、奥の山の峰をつたって右側の山へと連なる『ひと繋ぎの城壁』。
壮観やな…。
山肌から吹き上げてくる風が気持ちいい。
ここで、しばらくこの景色を眺めていたい。
- そして、下山
登ってきたものは、下りないといけない…。
単純だが、当たり前のことだ。
登るときは、辛く長いように感じたが、くだり始めると あっ という間だ。
見上げると、山上にドッシリと構えた要塞が見える。
粗野だからこそ、存在感がある。
ふと想う。
アンベール城とジャイガル要塞、夫婦のように感じるのは、4460だけだろうか…。
そんなことを考えているうちに、下りの坂道も もう少し。
観光客を乗せて歩く 象が見えてきた…。
やれやれ、なんとか戻ってきたよ。
次回は、電動リキシャ運転手 チェキヲさんとの再会。
今日はここまで。