インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.20
- チェキヲさんとお別れ
電動リキシャの運転手、チェキヲさんとは、EP.07からの付き合いとなるが、
そろそろお別れだ。
4460は、宝石の町としてのジャイプールを見てみたいと考えているので、
リキシャが必要でなくなる。
ここからは足で稼いで、もっと見識を広げるためだ。
チェキで写真を撮ったことがきっかけで、チェキヲさんとは2日間にわたって
一緒にジャイプール周辺を駆け回ることになった。
時には、寝坊して遅刻をする。
また、モンキーテンプルを大きく勘違いすることもあったが、
基本的には、憎めない奴だ。
ジャイプール市内に到着し、ここで降ろしてほしい。
料金はいくらだ?と聞くと、
チェキヲさん『300ルピー』『寝坊したから…』
まじか…。泣いてまうやろっ!
インド人やったら、気にするな!落ち込むな!前だけ向いて走れっ!
そして、ポンコツ電動リキシャを修理しろっ‼
チェキヲさんに500ルピーを渡して別れることにした。
握手の代わりにグータッチをしてリキシャを降りる。
4460は、インド人の雑踏の中に歩を進めてから、そっと、振り返ってみる。
チェキヲさんがまだ、こっちを静かに見ていた。
お互い少し手を挙げてあいさつすると、ポンコツ電動リキシャとともに、
リリースされた魚のように、静かに車の流れの中へと消えていった。
- 妻からの依頼
今回の列車の旅で、ジャイプールを訪れることを 4460は、事前に妻に知らせていた。
妻からは『日本でも使えそうなインドジュエリー、イヤリングが欲しい』とリクエストを受けている。
家族とインドで過ごした4年間の間に、4460も”インド人好み”のデザインと”日本人好み”のデザインの差が何となく掴めてきているとの自負がある。
その両者を別ける最大のポイントは、デザインの線の太さにあると4460は考えている。
今回は、無数にある宝石店の中からランダムチェックを実施して、日本人好みのデザインを探し出すのだ。
…テーマが壮大過ぎて眩暈がしそうだが、先ずは、できることからやってみよう。
まずは、メインストリートを歩いて宝石屋を探す。
インドの小売店は、親族経営が多く同じところに密集する労働集約型のビジネススタイルが多い。例えば、宝石屋なら、いとこが仕入れた石を 叔父が加工して、親父の店で売る感じだ。そしてみんな近くに店舗を持って手渡しで商売をしている。
だから、1件見つけたら、芋づる式に 100件見つかるはずだ。
宝石屋を見つけたら、路地まで入っていって、ショウウィンドウを確認する。
少し当りのありそうな店では、中に入ってオヤジと話をしてみる。
同じ方法を何度も繰り返してみるが、日本人好みのデザインは全く見つからない。
どれも、インド人好みのごついフレームのデザインだ。
30軒ぐらいは見ただろうか、さすがに疲れたし 喉も乾いた…。
ビールでも飲もう。
・ビールを求めて
ビールが飲みたい。
でも、いざ探してみると これがなかなか見つからない。
宝石もビールも見つからないと、さすがに疲労が蓄積する。
うーん。ちょっと前から歩いてくるにーちゃんに聞いてみよう。
このあたりにビールが飲めるBAR はありませんか?
にーちゃん『メインストリートには、ないよ』
メインストリートには、無い?
にーちゃん『バックストリートに安いBARがあるよ』
バックストリートかぁ…。ちょっと心配だが、ビールは飲みたい…。
仕方がない。よしっ行こうっ!
にーちゃんと一緒にメインストリートを少し歩き、路地へと入っていく。
右へ左へ細かく何度も角を曲がり進んでいく。
建物に囲まれた裏路地で日が差している向きもわからなくなり、方向感覚を失う。
路地の様子も荒れてる感じになってきた。
これは、やばいかな…。
少しでも危険を感じたら引き返そう。そう心の中で決めていた。
にーちゃん『ここの地下だ。』ホンマにあった…。
確かにBARや。
EP.06でも少し触れたが、インドでは、街の食堂や小さなレストランを『ホテル』と呼ぶ習慣がある。
ここの看板もHOTELと書いているが、ビールを飲むことはできても、泊まることはできない。じゃあ、宿泊するところは、何と呼ぶのか?これも当然、HOTEL:ホテルだ。
混乱するので、これぐらいにしておこう。
にーちゃんが先頭になってBARへと階段を降りる。
薄暗い店内で数人が酒を飲んでいるのが見えた。
4460はビール。にーちゃんは、ウイスキー コーク。
『とりあえず、乾杯』
この出会いにより、宝石探しに急展開が起きることを 4460はまだ知らない…。
次回は、にーちゃんの正体が明らかになる。
今日はここまで