インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.15
- マハラジャ 居住区をちょっと覗き見
ガネーシャ門の中は 陰になるため、視界が少しだけ奪われる。
よろよろ歩いて門の出口にかかると、次は、太陽の眩しさにかなり視界が奪われる。
なんとか明るさに目が慣れると 、
そこに優美な建物に囲まれた緑のきれいな中庭が広がっていた。
ライオン門までの兵舎に囲まれた武骨な広場の雰囲気から一変して、
繊細で優雅な趣に変わる。
いよいよマハラジャの居住エリアを覗き見るのか。
お宅探訪の気分だ。
- シーシュ マハール 鏡の間 へ
庭園の正面に建つ、
そう、ここが有名な『シーシュ マハール / 鏡の間』がある 王の迎賓館だ。
朝早いので、誰もいない…。係の人もリラックスしている。
写真を撮るなら今だ‼
このチャンスを活かして写真を撮る!
もう一枚、おまけだ!
鏡の間というだけあって部屋の内側には無数の鏡が埋め込まれていて、
キラキラしている。だからといって華美というわけではない。
全体の色調が抑えられていて、どこか上品で落ち着いた印象を受ける。
小さな鏡の装飾を眺めながら、思いにふけっていると
『おお~』と大きなため息が聞こえる
インド人観光客グループがガネーシャ門を抜けて入ってきたようだ。
こちらも思わず…おお~。
何とか間に合った。
- 2階からの景色
順路に沿って、迷路のような通路を抜けていく。
この通路沿いにある部屋が普段の居住区だったのか?
複雑に入り組んだ内部は、照明も案内掲示もないため、イメージが頼りだ。
考え事をしながら進んだため、少し迷い、同じ通路を数回通ったところで、
ようやく中庭の2階に抜けることができた。
視界の先の壁面に、透かし彫りの装飾窓が施されているのが見える。
近づいて透かし彫り窓の丁寧な仕事ぶりに感心していると、
掃除のおばさまが声をかけてきてくれた。
『この透かし彫りを観光客は、みんな写真にとっていくのよ』
と言って、案内してくれるのはいいが、その前にズイッと進み出て動いてくれない…。
うーん。透かし彫りを撮りたいのに…。
カメラ構えたら、気付いてハケてくれるかも。
そう思ってかまえてみると…。
おばさま、ばっちりポージング…。
しかも、チェックが入って3回撮り直した…。
この写真を 4460にどうしろというのか…。
インド人、鋼の精神力…。それにしても、箒がデカい。
2階から、アンベール城の背後に構える山の上にジャイガル要塞が見える。
見るからに守りの要、威圧感がビリビリと伝わってくる…。
うーん。このぐらいの距離なら十分歩いていける距離のはずだ。
アンベール城を出た後は、ジャイガル要塞まで歩いて行ってみることにしよう。
なんだか呼ばれている気がする…。
天気もいいし、次は山登りでもするか。
そろそろアンベール城を出ることにする。
次回は、アンベール城の癖が強い!カメラマンとの激闘…。
今日はここまで。
インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.14
- アンベール城
世界遺産「ラジャスタンの丘陵城塞群」として登録されている城塞都市。
象に乗って門をくぐると、城壁とかつての兵舎に囲まれた 大きな広場となっている
。ぐるっと一周見渡してみると、観光地として成立していることもあると思うが、
もともとの堅牢なつくりと、保存状態の良さが、マハラジャが 後世のインド人に
今も恩恵をもたらしていることを感じる。
宮殿の入り口 ライオン門。(名前だけでもすごい強そう)
階段を少し上がって振り返ると、奥に見える山の稜線にも城壁が見える。
広い範囲を守ってたんや…。
それにしても、早朝は、観光客のインド人も まばら。
客引きに見つかり、つかまってしまうリスクはあるが、逆にこちらから絡んだり、
ゆったりと見学もできる。今回の旅では、早朝からの行動を継続しよう。
階段を登り始めると入場ゲート。チケット売り場がないけど…。
『チケット売り場は、階段を下りて左側です。』…もっと早く言ってよ…
気を取り直して、チケット売り場へ向かう。
ここでもアーダール→すんなりインド人料金。快感。
もう一度、ライオン門に向かう。更に内部へ行ってみよう。
この門から先が、マハラジャの住居スペース。
幾何学模様や植物モチーフのムガール帝国のイスラム建築様式に、ラージプート族独自の美術様式が融合した独自のデザインが見どころ。と、一般的な紹介もいいが、とにかく繊細で色使いが優しい。
建造本体は、重厚で堅牢な印象なのに対して、装飾や色彩が華美にならずに繊細。
絶妙のバランスだ。
シンボルのガネーシャも椅子に座って横向いてて、なんだか かわいらしい。
- 下をのぞくと
ガネーシャ門の前には、王様が謁見するためのスペースがある。
昔から柱だけのオープンスペースだったらしい。
これだけたくさんの関所を越えてきているから、壁がなくても
身の安全が確保できたのか?
それとも、単純に 暑いのが嫌 だったのか?
謁見の間の端まで行って、下を覗いてみる。
おおっ。王様の景色。
眼下に 湖 と 庭園。城まで続く坂道 と ゆっくり歩いてる 象。
噂には聞いていたが、見どころの多さに思わず納得してしまう。
ガネーシャ門の内側も楽しみだ。
次回は、いよいよ ガネーシャ門の内側へ
今日はここまで。
インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.13
- 早朝のアンベール城へやってきた
ここまで快走してくれた 電動リキシャの運転手 POMAとは、ここでお別れ。
POMAの狙いが外れて、4460がまさかの奇跡でぴったり持っていた440ルピーを払ってもよかったが、肌寒い早朝にフリースを着込んで快走し、ジャル マハールにも案内してくれたので、勝手な予測だが彼が希望しているはずの500ルピーを払う。
POMA『ジャル マハールに停まったから、600ルピー』あっさりかわされる…。
上には上がいる…。
440ルピーが500ルピーになったのに、お礼も言わずに600ルピーを要求…。
インド人、鋼の精神力だ…。
軽く500ルピーであしらって、お別れすることにした。
- 象との出会い
今回、アンベール城への入城は、どうしても象に乗っていきたいと考えていた。
大きな象の背中に乗って、ゆっくりと高い視線から景色を眺め、坂を登り、門をくぐる。これが4460の希望だ。
すべては、マハラジャの気分を味わうためだ。
時刻は、7:45。インド人観光客は、まだ、数えるぐらいしかいない。
今のうちにエレファント ライドのスタート地点へと急ぐ。
あっ。象がいた。
象使いの男『すぐ乗れるよ。お前は、今日一番目の客だ。』『1100ルピー』
おっと。
結構な料金を取るのね。ネズミホテルよりも、チェキヲさんよりも、POMAよりも、エレファント ライドの象が 最も料金が高い。当たり前のようで 厳しい現実。
でも、乗り越えないと…。
象に乗りますっ。
- 象に揺られて
混み合っている時なら二人乗りのようだが、今回は、一人旅。
象の背中にもお一人様だ。
ゆっくり歩く象の肩甲骨の動きが、思ったよりもダイナミックな動きをしている。
象の背中に触れてみる。
ゲジゲジで腰のしっかりした毛がもっさり生えているが、手のひらで触ると、
その向こうから確かな体温が伝わってくる。温かい。
改めて…象って大きい…。
歩いて登れば、坂の外壁は背丈よりも高く外を見ることはできない。
だけどここは、象の背中のうえ。
壁の向こうも悠々と見渡すことができる。快晴で なかなかの景色だ。
嗚呼、いい気分。これが、マハラジャ…。
パシャ!パシャ、パシャ!
象の足元にいつの間にか インド人カメラマン。
いい気分で象に揺られてるのに、勝手に写真を撮るな。
カメラマン『両手を挙げてポーズをとって~』
待て待て。
40を越えたおっさんが、象の背中で両手を挙げて わ~い‼って…、やるかいっ‼
人がせっかくマハラジャに思いを巡らせているのに邪魔をするな。
あっちに行ってくれ。
カメラマン『写真は、アルバム4000ルピー。データ付きなら6000ルピー。』
勘弁してくれ…。
せっかくのエレファント ライドを台無しにする気か。ありえない。
象さん、彼をプチっと踏んずけてくれ…。
最後の手段、完全無視。
彼の声は、4460には届かない。
カメラマンは、相手にしなくなった私を黙って静かに激写し続ける…。
しかしこれが、この後の激闘の火種になることを、
そしてチェキが4460を助けてくれることをまだ知る由もなかった…。
次回は、アンベール城内部を探検だ。
今日はここまで。
インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.12
- 電動リキシャ ちょっと肌寒い…。
POMAのリキシャは、速い。
昨日までのチェキヲさんとの違いは明らかだ。
それは、運転手の気性の差なのか、車体のスペックの差なのか?
そういえば、チェキオさんの電動リキシャは、ボロボロだった…。
4460が住むムンバイよりも北側に位置するジャイプール。
今日は、10月31日、もうすぐ11月。日本なら衣替えを終えていないといけない季節だ。
肌寒いのも当たり前か…。
POMAのフリース買おうかな…。
- 朝焼けのハワーマハール
POMA『ここを左に曲がったら、ハワーマハールだ』
『ハワーマハールへは、行ったのか?』POMAが尋ねてきた。
…昨日行ったよ。…
ラウンドアバウトを左に抜けると、突然、上半分だけ朝日を浴びるハワーマハール。
ジャイプール市内の中心に造られているこの建物は、東西南北何処へ行くときも目に入る。また、ラウンドアバウト付近にあるため、地理が掴み切れていない旅行者は、右折、左折、直進したら、突然ハワーマハール。という状況になるのである。
POMA『止まるか?』 いや、先に進んでくれ…。
POMAのリキシャのスピードが、また少し上がったように感じた。
- 朝日が昇る ジャル マハール
ジャイプール市内の平地をひたすら走ってきたが、進む道にも少しずつ傾斜がでてきた。やはりラジャスタン丘陵要塞群の一つ、アンベール城に向かっているのだから坂道にもなる。
今日は、歩いてこなくてよかった…。
突然、右側の視界が広がり、朝日が顔にあたる。
POMA『ジャル マハールだよ』突然の案内。
電動リキシャの運転手は、名ガイドが多いようだ。
ジャル マハール
マン・サガル湖の中心に、マハラジャ、マド・シング1世(1750-1768)によって狩猟用ロッジとして考案され、1734年にジャイ・シング2世によって建てられた宮殿。ピンクの砂岩でできており、ラージプートとムガールの美学の融合により造られ、遠くのなだらかな丘を背景にして、宮殿はまるで湖水に浮かんでいるかのように見える。
おおっ…。凄い、いいやん。
あの中まで行ってみたい。
POMAに尋ねてみると、あっさり『中には入れません』
うーん…。あのブロッコリーみたいになってるところが気になる。
そこまで行って見てみたい。
しかし、朝日で後光がさして凄い逆光…。
帰りに、もう一度停まってもらおう。
- いよいよ、アンベール城へ
ジャル マハールを出発すると、左右にうねる本格的な峠道となってきた。
ここで、POMAの運転も本格的な峠仕様の運転に変わる。三輪なのにとにかく早い。上り坂のカーブが続く峠道を三輪の電動リキシャで、前に走る車を追撃し、抜いていく。
なんでもいいけど、無理はしないでほしい…。
ふっと、峠の傾斜が変わる。ピークを越えて坂道が下りに変わったようだ。
あれっ…。
POMAのスピードが落ちる。
下り坂は、苦手のようだ。
ゆっくりと左側の視界が開けはじめ、水辺が見えてくる。視線を前方に向けると稜線の先に建物が見える。ここからみても、大きい。
あれが、アンベール城だ。
朝日に照らされ、静かに湖に映る アンベール城。早朝から出てきた甲斐があった。
次回は、いよいよアンベール城の内部へ。
今日はここまで。
インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.11
- 早朝の王様ホテル
泥のように寝た…。
あれから、何時間たっただろうか…。
昨夜は、ホテルのレストランで、ビールと軽めのインド料理を食べたら すぐに寝てしまった。初めての寝台列車での興奮と緊張感もあり、一昨日も深く眠れていなかったからかもしれない。
宿泊先も、EP.10で事件が発生した『ネズミ ホテル』から、
どたばたと『王様 ホテル』へ移ってきた。
昨日起きたことを寝ぼけた頭で反芻していると、少しずつ目が覚めてきた…。
そうだ、今朝はアンベール城に行くために、
5:30に起きて準備しようと思ってたんだ…。
時計を見ると、4:55。
仕事がある平日と同じ時間に目覚めている。沁みついた生活習慣って、怖い…。
- 早朝のアンベール城に行こう
今日は、早朝のアンベール城へ 象に乗って 入城したい。
7:30のエレファント ライドのスタート時間に合わせて アンベール城に到着するためには、6:30のホテル出発が必要だ。
昨夜、ネズミホテルの前で、チェキヲさんとも約束した。
あれっ⁉
チェキヲさんと約束したのは、『ネズミ ホテル前に、6:30ピックアップ』。
今、4460が止まっているのは『王様 ホテル』。
そういえば、ホテルが変更になったこと、チェキヲさんに連絡するの忘れてた。
時刻はまだ、朝の5時過ぎ。
さすがに電話するのは気が引ける。6時になったら電話しよう。
もう一度、シャワーを浴びたら、パッキングをやり直そう。
この『王様 ホテル』には、連泊する予定だ。
貴重品以外で日帰り旅行に必要のないものは、部屋に置いていこう。
少しでも荷物を軽くして機動力を上げておきたい。
- 連絡が取れない
パッキングを日帰り仕様に変更し身支度を整えると、6時になっていた。
窓を開けると空がゆっくりと明るくなってきているところだ。
モンスーン明けの9月中旬に、ムンバイで久しぶりの朝日を見たころは、
5時過ぎからこれぐらいの明るさだったと思う。
ずいぶん陽が昇るのが遅くなってしまった…。
チェキヲさんに電話するが、出ない。何度電話しても、出ない。
しつこく電話するが、 やっぱり出ない。
もしかしたら、運転中かもしれないので、
『ネズミ ホテル前』に6:30に行ってみることにした。
ネズミ ホテル前。やっぱり いない。
寝坊やな、これは…。
チェキヲさんとは、ここまでか。
それはそれで仕方ない。待ってはいられない。
通りに出ると、寒そうにフリースを着込んだドライバーが、こちらに気付いてゆっくりと 電動リキシャで近づいてきた。
紺色のフリースの胸には、お馴染みのネコ科の動物が走るマークが描かれている。
その下に『POMA』とロゴが入っている。
『POMA』⁉
どうでもいいけど、『PUMA』やろ…。
心の中で、弱々しく突っ込んでみる。
突っ込みドコロはたくさんあるが、とりあえず、
POMAに乗ってアンベール城に行こう。
アンベール城まで、いくら?
『440ルピー』
メーターないのに、微妙に細かっ‼
今回は、鋭く突っ込んでしまう…。
そうか、
4460が440ルピーを ぴったり払えない場合、もし50ルピーを持っていれば、
最低でも450ルピーが出てくる。
そして、
400ルピーを100ルピー札4枚で払えない場合は、500ルピー1枚が支払われる。
どちらのパターンでも、『おつりがない』と言えば、
イメージする支払い金額:450ルピー以上に到達する確率を上げるための作戦か…。
すでに乗り込んだ車内で、POMAの戦略について 思いを巡らせていた…。
今回は、初の写真無しの記事。大丈夫か…。
次回は、早朝のアンベール城へ
今日はここまで。
インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.10
- ジャイプールの宿泊先に移動
今回の旅では、コロナ禍の現地で宿探しをするリスクを避けるため、
事前予約をしている。
今夜を含め2泊、ジャイプールでの足場となるホテルのアドレスをチェキヲさんに伝え、やっぱりゆっくり走る電動リキシャに揺られていると、あっという間に日が暮れてきた。
インドでは、日中の気温が高いこともあるが、日没後に人がたくさん街に出てくる。
そして、夕食が遅い時間(午後9時以降)から始まり、みんな夜更かしが大好きだ。
車窓の付いていないフルオープンのリキシャから眺めていると、日が暮れて灯がつきだした街に、どこからか活気が 湧き出てくるのを感じる。
電動リキシャが走り出して30分ほどたったが、まだホテルには、到着しない。
今夜のホテルは、駅から徒歩20分。
どちらかというと、ジャイプール市街地よりも駅寄りの住宅街に建つホテルを予約している。
これは、明後日にジョードプルへ移動するときに便利なようにと事前に考えていたが、騒がしい喧騒の中で、エネルギーを感じることができる ジャイプール市街地のホテルにしてもよかったのかもしれない。
そんなことを考えていると、チェキオさんが『着いたよ』と知らせてくれた。
- 明日の約束
ホテルの前でチェキヲさんと明日の待ち合わせの話をする。
4460は、アンベール城には、象に乗って丘陵を上り 入城したいと考えている。エレファント ライドが始まるのは、7:30らしいので、是が非でも 朝一番に行きたい。
6:30にピックアップ来れる?
チェキオさん『もちろん』
携帯電話の番号を交換しあって、チェキヲさんと別れる。
明日、時間どおりに来るかな?不安はあるけど期待してみよう…。
また明日ねー。
- ホテルにチェックイン
チェキヲさんと別れて、振り返り 改めてホテルを正面から見てみる。
まあ、一泊700ルピー。決して いいホテルではない…。
でも、アウトでもない。
ホテルのロビーに入りバックパックを下ろして、チェックインの準備をする。
ここまでの旅で、まだパスポートを出していない。
大概のことは、最強のカード。アーダールで何とか乗り切ってきた。
受付でアーダールカードを出すと予想通りすんなりと進む。
しかし凄いな…。感心していると、宿帳に直筆のサインを書くように促される。
Nationalityは、Japanっと。
すごい勢いでホテルの受付の男が、国籍の修正を求めてくる。
そうですか、そうですか。めんどくさいからINDIAって書いとくよ。
そうや、俺はインド人やねん。
さてと、チェックインも終わったし、そろそろ部屋に案内してくれ。
今日は疲れた。
シャワーも浴びて少し休みたい。
薄暗い廊下を抜けた先の階段を上がり、セカンドフロアへ。
インドでは、日本でいうところの1階をグラウンド フロアと呼ぶ。
日本でいう2階をファーストフロアー。だからセカンドフロアは、3階になるのだ。
エレベーターの表示は、G → 1→ 2…となる。
これは、覚えておいたほうが良い。
しかし、このホテルにエレベーターは無かった…。
- 緊急事態発生
狭い階段を上がり廊下の端まで進む。角部屋のようだ。
ボーイのにーちゃんがカギを差し込んで開けようとしたとき、部屋の中から音がする。
内側からドアに何かが当たってるぞ。
えっ‼
と思った瞬間ドアが開き、でかいネズミが2匹 足元を走り抜けていった。
まじか~。さすがにアウト‼
ボーイのにーちゃんも茫然。あのネズミ、どこ行ったんやろう。
フロントに戻って、すぐに予約を完全キャンセル。
さすがに、従業員と客の目の前でネズミが出てるだけあって、
すんなり宿泊費も返却。
泊まる当てがなくなってしまった…。
さて、どうしようか。
- 宿探し
気を取り直して、宿探しをしよう。
まだ、19時を過ぎたところだ。
大きな問題ではない。
バックパックを背負ってしばらく歩いていくと、良さそうなホテルがある。
助かった…。
ホテルのロビーで部屋の空きを確認する。
よかった、空室があるようだ。
ところで、一泊いくら?
『一泊 3500ルピー。』
思わず声が漏れてしまう。高いわ~。
すると、受付の男が切り返す。
『いくらやったら泊まるんだ?言ってみろ。』
そういう感じね。
さすが交渉の国 インド‼ 思い切って言ってやれ!
2泊するから 一泊2200ルピー。
『いいよ』って、いいんや…
ありがとう。
急に王様のような部屋で、2泊もできることになった。
明日からの旅も、なんだかうまくいきそうだ。
今夜は早めに眠ろう。
次回は、クセの強いアンベール城へ。
今日はここまで。
インドで一人旅『列車で行くしかないでしょ 』 EP.09
- 夕日のパトリカ門
チェキヲさんが運転する ゆっくりと走る電動リキシャは、西に向かっている。
傾きかけた太陽に向かって進んでいるので、どちらを向いているのかよくわかる。
正面に大きなパステルピンクの建物が見えてきた。おそらくあれが、パトリカ門だ。
あれがそうかな? チェキヲさんに尋ねると大きくうなずいた。
遂に到着するようだ。陽光も角度が変わり ちょうど夕日らしくなってきた。
パステルピンク「明るく淡いピンク色」
。淡い色ということと明るい雰囲気であることが基本的な特徴。
電動リキシャでゆっくりと近づいていくが、
この門は、本当にパステルピンクなのか?
ピンクにも いろいろある。
ローズピンクにマゼンタ、フラミンゴ、カーネーション、ウルトラピンク…。
確かにこの建物は、パッと見はパステルピンク。
だけど、ローズクオーツ、ベビーピンク、ベージュピンクなど、同系色で装飾されている。
色の厚みを目から感じる。
一色でベタ塗だった ハワーマハールとは、一味違う。
- 門の中へ
門の内壁には、草木や自然をモチーフにしたパターン装飾や人物や神様の絵など色彩豊かだ。テーマは、ジャイプールの歴史そのものを描いているそうだ。
その装飾は、統一されたパステルカラーの同系色によって 天井まで続いている。
おおっ。けっこう 手が込んでいる…
- 夕日のあたる向こう側へ。
門をくぐり西側に出ると、そこは公園の入り口広場になっていた。家族連れや若いインド人グループが写真を撮ったりしながら、ゆったりと過ごしている。
夕日が、パトリカ門に少しオレンジの差し色を加えながら、
はっきりとした陰影を与えている。
表と裏でずいぶん雰囲気も色も変わる。表側に朝日が当たるのを見てもいいかもしれない。
4460は、 露店でチャイをたのみ ベンチに腰掛けてゆっくりと口にする。
熱っ!
夕日に照らされたパトリカ門をじっと眺めている。
落ち着いた静かな気持ちになったところで 腰を上げ、チェキヲさんを探す。
そろそろ今夜の宿へ移動しよう。
- 日没までの約束
EP.07から登場した電動リキシャの運転手 チェキヲさんとは、日没までの約束だ。
約束の内容は、チェキの生写真がどうしても欲しいチェキオさんが、日没までの市内観光をすべてタダでサポートすることを代償に、チェキの生写真を手に入れるというものである。
しかし、市内を走り回ってくれた結果、その約束の日没も もうすぐだ。
パトリカ門に満足した4460は、チェキヲさんに聞いてみる。
ここから、有料でいいから宿泊ホテルまで行こう。
チェキヲさん『今日は、すべてタダでいいよ』
…エッ?いらんの?…
『その代わり 明日、アンベール城のガイドをやらしてほしい』
おおっなるほど。明日のための先行投資やったんか…。
やはり、なかなかの策士。
よし分かった。明日もチェキヲさんと一緒に観光しよう。
とりあえず2人で、今日の宿に移動しよう。
次回は、ホテルでまさかの緊急事態 発生。
今日はここまで。